こんにちは、Forkusです。
突然ですが、以下のツイートを皆さんご存知でしょうか。

これはZOZO・前澤友作社長が2月6日に投稿したツイートで、通販サイト側がメーカーの原価を公開したとして話題になりました。
翌日には以下のように批判が殺到し、株価も大きく下落するだけでなく、事態の沈静化をはかって前澤社長はTwitterを一時中断することに…
そして、その約2週間後、有名アウトドアブランド「ノースフェイス」がZOZOへの出品撤退を表明すると、各メディアは一斉に「ZOZO離れ」をクローズアップすることに….
そもそも、問題のツイートは、昨年12月25日より開始された会員制の割引制度「ZOZO ARIGATO」の宣伝の一環として投稿されたとみられています。
この割引システムは年会費3000円・もしくは月500円を支払えば、初月3割引、またそれ以後も常時1割引を受けられるという内容です。

しかし、この一時的な会費500円によって3割引が受けられるというシステムは、直営店を持つブランドからは良く思われません・・・
消費者からすれば、憧れの商品を通常より安価に買えるので、嬉しい限りですが、アパレルメーカーからすれば、作り上げてきたイメージの毀損、そして実店舗での売上低下が危惧されます。
結果、ゾゾから撤退するブランドが増えることを案じて投資家の売り先行 → 株価下落とネガティブな要素が続きました。
しかし、実際のところはどうなのでしょう。
Forkusが気になったのは、
- 実際のところ何人くらいがゾゾで買い物してんの?
- どれくらいのブランドが出品してんの?
- どれくらい儲けてんの?
という3点。
早速、色々みていこうと思います。
ZOZOの気になるKPI
去年の12月分までが現在入手出来る最新の情報になります。
よって、今回は、2017年4月1日~2018年12月31日までの1年と9ヶ月分のデータを参考に、ZOZOの気になるあれこれを調べていこうと思います。
例に漏れず、参照元はゾゾもとい、旧称のスタートトゥデイさんの連結決算短信(2017/4/1~2018/3/31)と、
ZOZOに改称してから三期分公開されている決算短信中最新のモノ(2018/4/1〜同年12/31)です。
残念ながら、ZOZOは三月決算企業なので、通期決算の発表は四月末を待たねばなりません。(あと1ヶ月先ェ…)
一番知りたい、原価ツイート後の出店ブランド数の推移はまだ明らかではありませんでした。

とは言え、直近の状況を伝えずに淡々とゾゾ離れを報道するのは酷い気もするので…
- 実際のところ何人くらいがゾゾで買い物してんの?
- どれくらいのブランドが出品してんの?
- どれくらい儲けてんの?
という3点を1つづつ見ていこうと思います。
1. アクティブユーザー数の推移
まずは、実際に何人がゾゾでお買い物をしているのか、みてみましょう。
購入者数の推移
期間:2017年4月1日~2018年12月31日
すごく、順調に増えているんですね..
1年と9ヶ月の間に約20%の伸びを達成しています。
800万人超えとは、それは注目も集まるわけですね….
同様に、アクティブ会員数も以下のように増加しています。
アクティブ会員の推移
期間:2017年4月1日~2018年12月31日
47%の伸び….

amazon primeの会員数は諸説ありますが、300万〜400万と言われていますから、ZOZOの会員数600万越えが如何に凄いかが想像できます…
2. 出店ブランド数の推移
出店ショップ数の推移
期間:2017年4月1日~2018年12月31日
ここが一番知りたかった部分ですが、なんとこの約2年間で250店舗以上の伸びを達成しています。
仮に、一連のツイートやキャンペーンの影響で、今年に入って撤退を決めた企業が増えたとしても、悪くて横ばいくらいになるのではないでしょうか・・・
いづれにせよ四月の決算発表が楽しみですヾ(。・ω・。)
3. 収益の推移
ここもかなり気になる、というかツイートに関して言えば「じゃあ、あなたはどうなんですか」的な意味で核心に迫るポイントなのですが、1つ注意点があります。
ZOZOは近年でさえ、自社ブランドに力を入れていますが、あくまで通販業が主な企業です。
よって、売上とは別に商品取扱高、という指標が重要になります。
これは、例えば、ゾゾタウンに出品したズボンの価格が一万円だった場合、その時の商品取扱高が一万円になる、という意味です。
一方で、実際にZOZOが手に入れる売上は、仕入れ額と、この販売価格一万円の差額であり、この差額分をみることで、いくらZOZOが儲けているのかが分かります。
なんだか難しそうに聞こえますが、要は商品取引高と売上高を比べることで、どれくらいZOZOが中抜きしているかが分かります。
前年同期間と比較しながら、収益を以下では確認しましょう。
左が前期のもので、右が当期のものになります。
当期の12月までの売上高は約900億円。対して商品取引高は約2350億円なのでおよそ約4割がZOZOの中抜きであることが分かります。
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逆に言えば一万円のバックの場合、ZOZOはメーカーより6000円の仕入れ値で入荷していることも伺えます。
こう書くと、なんだかボッタクっているのはZOZOなのでは、というような気もしますが、ここからサイトの運営費やZOZOスーツの無料配布に掛かる資金・また社員の給料などが差し引かれ、営業利益は約200億円となっています。
また、そこから法人税等が差し引かれた純利益は約140億円になっています。
売上高900億円に対する純利益が約140億円ですから、売上に占める純利益の割合(=純利益率)は約15%と、高い利益率を誇っています。
高い利益率を誇っているだけでなく、売上も前年度20%増を達成しているZOZO。
一方、注目して欲しいのは、純利益が前年度比16%の減となっている点。
ARIGATOキャンペーンやZOZOスーツの無料配布など、顧客への利益還元をし始めたと捉えることの出来る、この利益の減少幅。(それでも高利益ですが..)
少なくとも顧客の為に身を切っている姿勢を感じることが出来る決算分析となりました。(それでも高利益ですが..)
当期純利益率は当期(一定の期間)の売上に占める純利益(維持費・給料や税を差し引いた最も純粋な利益)の割合です。ある企業の収益性を確認する際に、よく用いられる指標となります。
高いほど優良企業と呼ばれ、目安としては 優:10%以上、良:5%以上、可:1%以上、に分類されます。