【初心者向け】「I go to school」には「to」があるのに、「I go home」だとないのって、なんで?|すぐに分かる自動詞と他動詞の違い


まずは、授業のワンシーンを見てみましょう。

優しい先生
I go home. の「home」の品詞、分かる人〜?
手をあげる中1のわたし
「home」は「go」の目的語だから、名詞のはず…

名詞、名詞です!
優しい先生
ブー!「go」は自動詞だから目的語を取ることは出来ません!
その前にtoが必要だったよね?でも、このhomeは副詞だからtoいらないんだよ〜。みんな分かったかな?
中1のわたし
(こ、こいつ、マジで何言ってんだ・・・)

これは、自動詞と他動詞の違いへの理解が不足しているために、起こる間違いであると指摘されます。

一方、これには少し語弊があります。

私たちは日々の生活の中で、自動詞と他動詞の違いをしっかりと理解し、そして使いこなしています。

まずは日本語で、両者を比較してみましょう。

1. 自動詞と他動詞に関する、英語と日本語での差


台所周りを例にして、自動詞と他動詞を比べてみましょう。

自動詞(〜が / は)他動詞(〜を)英語(自・他共通)
タマゴ温まる / 冷める(私は)タマゴ温める / 冷ますheat up
お湯沸く(私は)お湯沸かすboil
大根切れる(私は)にんじん切るcut
焼ける(私は)魚焼くgrill
つく(私は)火つけるlight
割れる(私は)薪割るbreak
破れる(私は)袋破るbreak
優しい先生
いかがでしょう。動詞には、自動詞と他動詞で対になっているものが多くあるのですね。そして、これは英語も同様です。

以下では、「boil」を例に取って考えてみましょう。


a
 Water boils. → 自動詞
訳:水が沸く
※ 「water」の様に形が無い物質は、不可算名詞です。これは、単数扱いになるので、注意しましょう。不可算名詞が主語になる場合、三人称単数として扱うので、「boil」には三単現のsが付いています。

b
 I boil water. → 他動詞
訳:お湯を沸かす
※ 英語では、「”水”が沸騰する」もしくは「”水”を沸騰させる」の様に水基準で考えます。よって、日本語につられてお湯 = hot water としないようにしましょう。


優しい先生
以上のように、boilは「(〜が)沸く」という自動詞にも、「〜を沸かす」という他動詞にもなります

一方、以下の2点は日本語とは大きく異なる為、注意が必要です。



1. 「boil」のように、1単語が、全く形を変化させることなく、他動詞・自動詞2つの意味を持つ場合がある。

2. 英語では、主語を省略出来ないが、日本語では他動詞(b)を使用する時、主語を省略出来る。

コラム
英語には三人称単数が主語にくると動詞にsをつけなければいけないというルールがあります。ですから、主語は重要です。
日本語のように、主語が明らかな場合「お湯を沸かす。」として、「私は」を省略することは出来ません。必ず、「I bail water.」もしくは「He boils water.」のように主語を伴います。

2. 英語では他動詞に「〜を」の意味が含まれている


先ずは、前回のおさらいです。

優しい先生
boil の意味をそれぞれ自動詞他動詞で答えてみてください。
生徒A
ええっと… 自動詞の方が「沸く」で、他動詞は「沸かす」だったかな。
優しい先生
惜しいですね..! 正確には、他動詞は「〜を沸かす」が正解になります。
副担任の先生
実際に、辞書を引いて「boil」の意味をみてみましょう。

※ ウィズダム英和辞典(第3版)を使用しています。

 boil

ー【自】
  1. (液体が)沸く、沸騰する
  2. (液体の入った容器が)沸いてCの状態になる
  3. (食物が)煮える

ー【他】
  1. (液体)沸かす、沸騰させる
  2. (やかんなど)を沸かす、沸騰させる
  3. ・・を煮る、ゆでる
  4.  AをC(の状態に)にゆでる

副担任の先生
確かに、他動詞の意味では「」の意味が動詞に含まれていますね。
優しい先生
」が含まれているということは、

沸かす対象(目的語)は動詞の後に必ず続くということです。

日本語の場合、目的語はしばしば省略されますが、英語では他動詞に「を」の意味が含まれるので、省略出来ません。

副担任の先生
例えば、日本語では以下の様な場合、目的語を省略しますね。

A. 「今日は私、沸かすよ〜。」

この様に、目的語無しでも気軽に言えますが、英語にこの感覚を持ち込むと、意味が全く変わってしまいます。

A.
 Today, I boil   . ⇦  日本語のようにwaterを省略すると… 
訳:今日、私が沸騰する。

のように、完全に自動詞として取られてしまいます。

副担任の先生
英語では、目的語の有無によって、動詞が自動詞なのか、他動詞なのかを判断しています。
よって、どんなにそれ(=沸かす対象)が明らかであったとしても、他動詞の場合、

I boil it.(= 私は、それを沸かす。)

のようにitを付けて表現しなければいけません。

優しい先生
ちなみに…

英語の他動詞には「を」の意味が含まれる一方で、「〜のために」「〜の中で」「〜によって」のような語の場合、日本語と同様「for」「in」「by」を伴って表現します。

  • I boil water for tea.(お茶用に、お湯を沸かす。)
  • I boil water in a kettle.(やかんの中で、お湯を沸かす。)
  • I boil water by a microwave.(電子レンジによって、お湯を沸かす。)


今までの内容を踏まえて、以下の3点に注意しましょう。



1.
 英語では、「boil」のように、1単語が、全く形を変化させることなく、他動詞・自動詞2つの意味を持つ場合がある。


2.
 英語では、主語と目的語を省略出来ない。一方、日本語では他動詞を使用する時、主語と目的語を省略出来る。


3.
 英語では、他動詞に「を」の意味が含まれている為、対象となる目的語が必ず続く。( ※ 一方、 自動詞には「に」や「で」の意味は含まれないので、「to」や「in」が都度必要。)


この3つのルールを覚えた上で、今回の本題「I go to school.」と「I go home.」の違いを考えてみましょう。

コラム
英語の動詞の訳には「~する」と「~をする」の2種類があります。
例えば、laughは「(人が)笑う」、watchは「〜を観る」と書かれているわけです。
これは、laughが「〜を」以下を必要としない自動詞である一方、watchは「〜を」の意味が動詞に含まれている為、目的語を必ず取ることを示しています。

1. 3つのルールを知れば、「go」は自動詞なのか他動詞なのかわかるはず!


それでは、もう1度同じ質問を…

優しい先生
I go home. の「home」の品詞、分かるかな?
生徒A
「home」は「go」の目的地で、目的語…。つまり、名詞…!

目的語を取るということは、「go」は他動詞なのかな!
優しい先生
いいえ、「home」の品詞は副詞です。そして、「go」は自動詞です!


「他動詞は目的語をとる。」

どうやらこの教え方が間違いに繋がっているようです。

先ほどの3つのルールの3番目を思い出しましょう。

3. 英語では、他動詞に「を」の意味が含まれている為、対象となる目的語が必ず続く。


よって、「他動詞は目的語を取る。」ではなく「〜を」の意味が含まれるのが「他動詞」と考えるようにしましょう。

「go」は「〜を行く」ではないので、他動詞ではありません。

goは自動詞です。ですから、「I go.(私が / は行く。)」のように、行く先を述べなくても使用できます。一方、「〜に」の意味は動詞に含まれないだけで、「to」をつければ「〜に行く」という行き先を示すことも可能です。


必ず目的語を取らなくてはならない他動詞とは異なり、このように動詞単体で使用できるのが自動詞なのです。

そして、ここに「〜に」という意味を持たせるためには、以下のように「to」を付ける必要がありました、

「I go to school. (学校いく。)」

これは、

「Water boil in a kettle.(やかんの中で、お湯が沸く。)」

でいう前置詞「in」と同様の働きです。

これらの「〜で」「〜に」「〜によって」といった副詞的な表現は英語でも日本語と同様、しっかり語を伴って示さなければなりません。

「〜を」という意味が含まれる他動詞の様に、元から意味が動詞に組み込まれているパターンとは異なり、ここは日本語と一緒なのです。

中1のわたし
でも、「I go home.」に、なんで「to」が入ってないんだろう…!
優しい先生
実は「home」には副詞で「家に」という意味があって、すでに、「に」という意味が含まれています。

これは、「here:ここに」などでも同様です。「He goes here. (彼はここにいく。)」では「to」がありませんが、意味が成立しています。


ですから、「I go to home.」にすると、「私は家ににいく。」の様に「to」が重複している様に捉えられることもあります。

一方、あくまでこれは例外的なパターンで、「家に行く(帰る)」というよく使う言葉だから、「to」を省略するようになったのです。

一般的には、「I go to school.」のように自動詞は前置詞を伴います。

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