I want to get it. を訳すとき、
「to get」が不定詞の名詞用法(〜すること)であると考えれば、以下のようになるのではないでしょうか。
「私はそれを手に入れることが欲しい。」
よって「(私はそれを)手に入れたい。」と訳されますが、
このように不定詞の用法に注目すると、少し見方が変わってきますね。
不定詞、つまり「to 動詞の原型」は本例のように名詞や、また形容詞・副詞としても使うことのできる、非常に便利な用法です。
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以下では、まず簡単な例をみてみましょう。
例 1
He set off early to avoid the traffic.
※ set off 【自】 (for) = leave(for):(〜に)出発する、出る
※ traffic:交通、交通量 ⇨ 渋滞
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「set off:出発する」と言う動作の理由を説明しているから、副詞のことかな…
そうですね。副詞を見分けるポイントは、それ無しでも文が成立する、ということです。
「彼は早く出た。」でも文は成立しますし、「彼は出た。」でも文は成立しますよね。これは、「to avoid the traffic」・「early」が共に副詞だからです。
では、次の例ではどうでしょうか。
例 2
To phone someone late at night is fun.
※ phone:他動詞(目的語を取る) 〜に電話をかける
※ late:副詞(無くても文は成立する) 遅くに
※ fun:形容詞(主語とイコールの関係) 楽しい
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「〜すること、〜するの(は)」って確かに文頭に持ってこれた気がする!
そうですね。「to 動詞の原型」で「〜すること」という名詞になりました。
本例のように文頭に主語Sとして使うことも出来れば、目的語Oや補語Cとしても使うことが出来ます。
いかがでしょうか。
以下では不定詞を、用法ごとに見ていきましょう。
目次
不定詞とは 〜3用法を確認しよう〜
不定詞は準動詞の一つで、
動詞を含んでいますが、toと組み合わさることで、文中では名詞であったり、形容詞であったり、副詞という品詞と同じ働きをします。つまり、もう動詞ではありません。
不定詞 = to + 動詞の原型
名詞(的用法) : 〜すること → 名詞
形容詞(的用法) : 〜する、〜すべき〇〇 → 名詞の説明
副詞(的用法) : 〜するために、〜して、するとは → 〜した理由
まずは、名詞(用法)から確認していきましょう。
1, 名詞用法
1. 「〜すること」という動作が作る名詞は不定詞の名詞(用法)によって表現されます
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主語の例はわかりやすいですが、目的語と補語の例では、注意が必要です。
例えば、「〜をする」、という他動詞では後ろに目的語(=名詞)をとりますから、「to V」が来ることも可能です。
a My lifelong dream is to get married.
※ 名詞として使われ、補語(C)の働きをしています。補語(C)ですから、主語(S)とイコールの関係になっています。
b I am trying to find something to do.
※ try to do = 〜しようとする
try【他】〜をやってみる、の目的語として、「to V」が使われています。
c To fix a PC requires skills and tools.
※ 主語として、「to V」が働いています。
2, 形容詞用法
2. 「〜する〇〇」、「〜すべき〇〇」という〇〇の性質は不定詞の形容詞(用法)によって名詞の後ろから表現されます
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前置詞を必要とする場合(= C)は(自動詞の不定詞)、注意が必要です。
a I want something to drink .
※ 形容詞として使われ、「something:(何か)〜もの」という代名詞を形容しています。
※ somethingを修飾する形容詞は後ろに置かれます。
「something special:(何か)特別なもの」
b There are many movies to watch .
※ 〜すべき、という意味で名詞を修飾しています。
c We finally found a house to live in.
※ liveは「住む」という自動詞ですから、住む場所を示すには「in」が必要ですね。
d From its beginning in 1910, our hospital grew to play an important role in helping patients cure a serious disease.
※ grow C = C するようになる
⇨ Cは補語(名・形)の意。今回は、「to play:〜の役割を果たす(我々の病院)」以下が形容詞として、主語(our hospital:我々の病院)の成長した結果を説明する。(S=Cの関係が成り立つ。)
⇨ そのほかの不完全自動詞の補語Cとして使用される不定詞の例。
I’ve come to realize that it is true.
(それが本当と言うことをわかって来た。)
なお、「grow up to be A」を「成長して、(結果)Aになる」と言う不定詞の副詞用法(結果)に分類する参考書もある。
3, 副詞用法
3. 「〜するために(来た)」という動作の理由。また、「〜して(嬉しい)」「〜するとは(怒っているだろう)」、という感情に至った理由は不定詞の副詞(用法)によって表現されます
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a I came here to see you.
※ 「came here(ここに来た)」という行為、その動作の理由を説明しているので、動詞を修飾する副詞になります。
※「なぜここに来たの?」という質問の答えになっていますね。
b I was sad to hear the news.
※ 〜して、という感情の理由を表しています。
※「なぜ悲しかったの?」という質問の答えになっていますね。
c He might feel lonely to say such a thing.
※ 〜するなんて、という判断の理由を表しています。
※「彼は寂しいかもしれない」という判断の、「なぜ」に答えていますね。
4, 【発展】不定詞を使った表現
4. 不定詞を使った慣用表現には、「仮主語(目的語)のit」や「ask(want) 人 to V:人にVするように頼む(して欲しい)」の様に、用法の品詞を明らかにして、文型として区分することが難しい表現もあります。
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a She will find it hard to change him.
※ 「to change him:彼を変えること」は先行する「it」の意味を後ろから表現しています。(仮目的語のit)
※ find A C = AがCであることがわかる。
b I happened to watch the car crash into the wall.
※ 知覚動詞(see, hear, feel, watch, notice・・)+ O + (to)不定詞
⇨ 知覚動詞、もしくは使役動詞が動詞として取られた場合、続く不定詞はtoが省略される。
※ happen to V:たまたまVする
c The hardest thing was to decide what color to paint the walls.
※ to decide:決めること(名詞用法)
※ what color to paint:塗る色(何色を塗るか)⇨ what color:何色 と言う名詞を後ろから「to print」以下が形容している。
〇〇詞的用法は、品詞であるってどういうこと?
不定詞は全て、名詞か形容詞、副詞いずれかの品詞と同様の働きをする、と前項では説明しました。
このように単語でなくとも、二語以上の単語の組み合わせによって、
名詞・形容詞等の品詞と同様の働きをするかたまりを「句」と呼びます。
名詞句だったり、形容詞句という言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか…

普通、名詞 = 単語な感じもしますが、先ほど不定詞の名詞的用法であったように、「結婚すること」と聞くと、これも名詞だと思いますよね?
このように、「結婚する」+「こと」で一つの名詞となっているかたまりを、「名詞句」と呼ぶのです。
名詞句であれば品詞は名詞となります。
文型の主語(S)や補語(C)として、今回も出てきましたが、不定詞のまとまりとして、名詞句となり、結果、品詞は名詞として見なされるから、主語や補語になっているのですね!
意外な不定詞の例
I want to do it. (わたしはそれをしたいです。)
例えば、意外かもしれませんが、これは不定詞です。
I want it. (わたしはそれが欲しい。)
と、構造的には同じ、SVOの文になります。
というのも、wantは目的語を必要とする他動詞ですから、後ろには名詞、つまり名詞句も来ることが可能です。
よって、
I want to do it. (わたしはそれをすることが欲しい)
の、「to do it. (それをすること)」は名詞句、つまり名詞なんですね。
このように直訳すると堅苦しくなってしまうので、日本語っぽく
I want to do it. (それをしたい。)
と省略されがちなのですが、これだと何故「to」があるのかよくわかりません。
日本語訳につられて、なぜそうなっているのかを見失うこともありますが、このように不定詞が各品詞に変化している時は要注意です。